岐阜県が大きな被害を受ける台風のコースって?

伊勢湾台風は岐阜県にとって最悪のコースだった!?

一年のうち、台風が発生するのが一番多いのは8月ですが(平年値8月5.7個)、日本列島に接近した数や上陸した数は8月と9月がほぼ同数となっています(接近数:平年値8月3.3個、9月3.3個。上陸数:平年値8月0.9個、9月1.0個。気象庁HPから)。

ところで、台風といえば中心(台風の目)に向かって雲が渦を巻いている気象衛星からの写真が思い浮かぶと思いますが、もちろんこの雲は止まっているわけではなくて、反時計回りにぐるぐる回っているように見えます(南半球では逆回りです。理由を知りたい人は”コリオリの力”を調べてみよう)。そのため、台風の接近、通過に伴って風向きはどんどん変わっていくことになります。

変化するのは風向きだけではなく、風の強さも変わってきます。風速が一番早いのは気圧が低い中心付近ですが、日本周辺に北上してくる台風は一般的に、台風自身の進行方向と中心方向への風向きが一致する台風の右側が風が強くなります。当然雨雲も多く流れ込むことになるため、降水量もより多くなる可能性があります。

戦後最大の台風災害である伊勢湾台風(昭和34年9月26日)は、ちょうど岐阜県の西端を縦断して進み(図参照)、暴風と洪水により岐阜県内で死者行方不明者104名、住家全壊約4000棟という被害がありました(岐阜県HPから)。ちょうど岐阜県が台風の進行方向の右側にあたった形になります。

ただし、条件によっては台風の左側から後面の風速が一番強くなる場合があります(NHKそなえる防災HP「台風の渦巻きの成因と風雨の偏り」から)。また、台風が接近する前に大量の水蒸気が流れ込んで大雨が降ったり(令和元年台風第19号)、台風から遠く離れた外側降雨帯(アウターバンド)で大雨になったりする場合(平成27年9月関東東北豪雨)もありますので、台風が近づいている場合はいろいろな気象情報に注意し、油断しないで十分な準備をしましょう。

 

伊勢湾台風の経路(元資料:岐阜県を襲った伊勢湾台風(昭和35年、岐阜県))